『枕草子』を可愛く訳そうキャンペーン3、第六段。

※これは、真面目なけんきゅうではありません。ですから、品詞分解をきちんとした結果の訳文ではありません。同じ言葉でも文脈によって違う訳文になってたり、違う言葉でも同じ言葉に訳したり、というところがあると思います。昔の人は一言で言えばその感覚が分かるものでしょうが、現代人には同じ感覚がない時もあるんじゃないかなって。でも、なるべく原文にそって、大意がつかめて雰囲気が分かって、なおかつかわいさが伝わる、を目指してテキトーに訳していきます。
※原文は、方々のウェブサイトを参考にいたしました。

第六段(原文)
 同じことなれども、きき耳ことなるもの。法師のことば。男のことば。女のことば。下衆のことばには、かならず文字余りたり。
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第六段(現代語訳)
 同じことを言ってるのだけれど、言葉遣いのせいで聞いた感じ全然違う。身分とか、立場とか、いろいろ違うと、使う言葉も違うよね。お坊さんの言葉。男性の言葉。女性の言葉。庶民の言葉は、ちょっと文法があいまいで、崩れてきてる。

 ここでいう「男(おとこ)」「女(おんな)」は、庶民じゃない高貴な男性や女性のことですね。「下衆(げす)」ってのが庶民です。庶民の場合は「男(おのこ)」に「女(おなご)」でしたか、言葉遣いにはあんまり男女差がなかったのですね。で。「おのこ」は「おとこのこ」で「おなご」は「おんなのこ」とだいたい同じです。おとなでも? イエス、おとなでも。なんでおとななのに「おとこのこ」に「おんなのこ」かと言えば、成人式をしていないからです。皇族や貴族は、人生の節目節目に式をして、だんだんおとなになっていくのです。例えば、七五三とか、成人式とか。髪を伸ばし始める式をして、ちゃんと袴を穿く式をして、子ども服をやめておとな用の服を着る式をして、その時に髪をおとな用に結って、それで成人です。庶民はこういうのしませんから、何十歳になっても子どもなのですっていう扱いなのです。たとえば、「牛飼い童(うしかいわらわ)」っていう職業っていう職業がありますね。牛を飼ったり牛に車を牽かせたりという職業ですが、あんまり高貴な職業じゃなく、庶民が就く仕事です。髪や服も、よそ様に見られる職業なので主人が制服を作ってあげたりしますが、サイズは大きくても子ども服の形の制服です。あるいみ倒錯的って思っちゃう現代感覚。