字幕だいじ。

夏ごろから、こちらのテレビ番組を見ているのですが、なんで急に見始めたかというと、字幕が付いていたからです。私は、日本のもこちらのも、テレビドラマのほとんどには興味がなく、バラエティ番組には興味がありません。こちらで日本の番組ばかり字幕付きで放送するチャンネルがありまして、五年前に住んでたところでは日本語に接したければそのチャンネルを見るしかなかったのですが、あんまり見ませんでした。ドラマとバラエティ番組ばっかりだったからです。彼氏ができてからは一緒に見るようになりました。見始めてからわかったのは、日本のケーブルテレビ「旅チャンネル」の番組を多めに放送しているということでした。安いんでしょうか。「旅チャンネル」の番組はナレーションが静かで映像が淡々としていて、好きでした。中でも「秘境駅」を探訪するような番組が好きでしたが、先日実家に帰りましたら母が同じ番組を好きでびっくりいたしました。私も母も鉄子なのです。さて、結婚してこちらに住むようになったときに、夫がこちらのケーブルテレビと契約して私が日本語の番組を見ることができるようにしてくれました。先述の日本の番組ばっかりやってるチャンネルと海外版NHKといくつかのアニメ専用チャンネルです。私はやはりドラマにもバラエティ番組にも興味がなかったので、アニメばっかり見てました。映画はたまに見ました。こちらのバラエティ番組は日本のとほんとにそっくりで、全く見る気がしなかったのですよ。で、この夏、実家に帰って戻ってきたら、夫がなんかダンス番組にはまったとか言って見せてくれたのが、冒頭の夏ごろからずっと見てるっていう字幕付きの番組です。
その番組はですね。赤青二チームのダンスマスターが、まずオーディション→ドラフトで何十人かのダンサーを選んでチームを編成します。それからチーム内で何回もさまざまな審査を重ねてダンサーをふるいにかけ、十二人まで絞ったところでチーム対決、最終的に九人のチームを編成し、生放送で五週間にわたってチーム戦という感じの、ようするにダンス番組です。ダンサーは、ストリートからジャズダンサー、社交ダンスの競技選手、モダンバレエダンサー、クラシックバレエダンサー、民族舞踊手、素人さん、ニューハーフなど、さまざまでした。最終的に選ばれて編成されたチームも、さまざまなジャンルのダンサーがそろっていて、面白かったです。それの、2013年版です。2014年版もありましたが、そちらは特に萌えませんでした。13年版はなんか熱かったです。萌えキャラがいっぱいいたというか、たとえば、ナルトとか見てると主要キャラ一人一人で普通に連載マンガできそうじゃないですか、そんな感じです。いちいち内容を話すと多分三時間ぐらいノンストップで喋ってしまうかと思われるのでここでは割愛するとして。
この番組を見るのに大事だったのは、字幕の存在です。この番組には、生放送部分は仕方がないですが録画部分にはすべて字幕が付いていたのです。放送に音がのるかのらないか微妙な雑談とか独り言とかにも全部です。しかも、バラエティ番組によくあるあのカラフルで文字の大きさがいろいろで画面の構成においてかなりの自己主張を感じるあのいわゆる「テロップ」ではなく、黒い帯に白い文字で、スラングはいくらか上品な言葉に直した(たとえば、「めっちゃ力入るでしょ?」→「とても力が入る(感じがする)でしょう?」みたいな)、なんとなく聴覚障碍者用かもしれないと思わせる字幕でした。
見始めた時には、単純にダンスがすごいので楽しくなって毎日見るみたいな感じでしたが、しばらくたって字幕を読みながら解説とかをきくようになりました。以前、こちらに来てしばらく経ってから、三ヶ月だけ語学学校に通って言葉を勉強したことがあるんですが、だからちょっとだけは言葉はわかるんですが、複雑な話になるとちょっと会話では無理です。そうね、買い物をする、コーヒーショップに寄る、タクシーに乗る、道を尋ねる、道を教える、自己紹介をする、日本語や日本の文化文物について少し紹介する、こういうのはなんとかなるかなんとかしますが、学校の規則について改訂案の会議、みたいな話になると筆談にしてくださいって気分になります。書いてあればまたなんとかなることも多いのです。でも書いてあるだけだと読めなかったりもするので、書いてあることを発音してもらえるとめっちゃわかりやすいです。という感じですので、話してることにいちいち字幕が付いていると、なんかとてもわかりやすいのです。そんな感じで、三ヶ月ぐらいずっと同じ番組を繰り返し見続けていますが、最初わからなかった笑いどころとかも最近ではわかるようになって、一緒に見てる夫と一緒に笑えたりします。だいぶん進歩したなぁ自分の語学力、と思うと感慨深いです。
ちなみに、こちらの映画やテレビ番組に日本語字幕がついているだけではまだ私には勉強としては早かったです。字幕ばっかりで理解してしまい、音声をきかないからです。逆に日本の映画やテレビ番組にこちらの字幕がついていると、これはだいぶん長いこと字幕邪魔だなって思ってましたが、最近はいくらか読めるようになってきて、目が勝手に字幕を追います。声が小さくて聞き取れない時(アニメにはあまりないです、ドラマに多いです)とかには、字幕を頼りに話を把握したりする時もあります。たまに誤訳を見つけて、いい気分になります。