天に選ばれし芸術家とかの話。

昨日の続きです。
あるクラシックバレエダンサー(女性)のお話。
私は子どもの頃からバレエを始め、顔が可愛くないというコンプレックスなどとも戦いつつ、一生懸命修業しました。だんだん自信もついてきて、このまま舞踊家として一生がんばろうと思えるようになってきた二十代もそろそろ半ばに差し掛かろうかという頃、恋愛をしました。自分も相手の男性もけっこう本気で、結婚を考えていました。しかし、母は言いました。あ、母もかつてはクラシックバレエのダンサーで、私の師匠です。「お前は一人の女性であると同時に、芸術家なのよ。そしてお前の性格では、その結婚と芸術は両立できないわ。お前は求道者だもの。」 葛藤の末、私は恋愛をあきらめました。今のこの国のこの社会では、確かに、芸術家と嫁の両立は難しいと私も思ったのです。恋人とは別れ、私は舞踊に一生を捧げる覚悟を決めました。
っていう独白とか、真面目な感じでドキュメンタリタッチで描かれたら、応援するしかないじゃないですか。これってなんて少女マンガ! こういう求道者タイプの先輩(だいたいわけもなく長身の金髪で縦ロール、あと優しい)に見守られながら世界的に有名な師匠に見いだされて恋もコンクールも成功させちゃうヒロイン、の陰で、こういうタイプの先輩を子どもの頃からずっと見てた幼馴染とかがそっと支えてる、みたいな!
こういう萌えキャラがいっぱいいるのが、くだんの番組です。上の先輩タイプのバレリーナは、一分間自分の持ちネタで踊るという形式のドラフトにおいて、「白鳥の湖」の「ブラックスワン」を踊ったのですが、もうなんか出てきた時からほかのダンサーと風格が違いました。普段着に近い格好のストリートダンサーとか動きやすいワンピースのモダンバレエダンサーとかきらきらしい服装だけど男女ペアで出てくる社交ダンスの競技者のみなさんとかに交じって、一人だけ、バレエのチュチュ(あの針金入ってる広がったスカートの、バレエと言ったら思い出すあの衣裳)でしたから、そもそも目立ってたのですが。また、人に交じって立っていると小さいお姉さんなんですが、踊り始めるとやけに大きく見えるのです。アップになるからという理由ではないと思います。で、数週間後に上の独白なので、あぁやっぱり芸術に人生を捧げた人はこうなんかただの人間ではないなにかになってしまうのだと思った次第です。
多分、こういうダンサーの皆さんにも、私は銀のロマンティック的な何かを感じているのでしょう。
あ、言い忘れてましたが、番組のタイトルは、「ダンシング9」といいます。