嫌い?

学生に書かせた作文を添削していました。教科書に載ってた課題で、「外国に行く前と行った後で、あるいは日本語を学ぶ前と学んだ後で、その国についての印象がどう変わったか」というのを、その課で勉強した表現方法を使って書くというものです。日語日文学科なんぞにいて、日本語を使いこなせるようになるまで勉強するような人たちですから、あんまり知らなかったところからよく知ったら意外によかった、くらいのことを書いてくるだろうと、思って読んでおりました。ほら、あれですよ、読書感想文とかさ、先生の望むような自分の変化を書くという形式があるでしょう、そういうのがたくさん書かれてると思いながら読んだんですよ。
そしたら、意外に、自分の体験とかをたくさん書いているんですよ。いいのも悪いのも。うん、私は、文法はともかく自分の文章を書くことを大事にしなさいって常日頃言ってるし、ちゃんとそれを聞いてて自分のこと書いてくれてるんだなあと、ちょっと先生らしくいい気分になりました。
で、二十数人のクラスですが、ふたりほど、日本が嫌いと書いてる子もいました。嫌いっていうか、嫌いだった、と。日本は嫌いだったけど、言葉や文化を勉強してみたらだんだん平気になってきた、というのがひとり。日本は嫌いだったし、ちゃんと謝罪しなければ仲良くなれない気がするけど、個人個人はいいやつばかりだし国家とかじゃなくて個人とは仲良くするのがいい、というのがひとり。思ったより日本嫌いな人数少なかったです。十パーセント未満ですから。でも今もそれほど好きじゃないんじゃないかな、と思います。この嫌いだったけど今は云々という書き方は、それこそ読書感想文的な書き方ですし、先生の求めるところを推測して書くような書き方だな、と思うので。それはそれでよろしいですが。それに、特に書いてきてないけど、他にも日本嫌いな子いっぱいいるんだろうな、という気分にもなりました。無難な印象の薄い作文を書いてきた子についてはそんな風に、私の目には見えています。若干偏見ですが。