涼宮ハルヒの大魔境

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫) 映画ドラえもん のび太の大魔境 [DVD]

左は『涼宮ハルヒの消失』(谷川流著)、右は『ドラえもん のび太の大魔境』(藤子不二雄原作)です。

涼宮ハルヒの消失』は、次のようなお話です。
ある朝キョンが目覚めると、世界は一変していた。ハルヒとSOS団が学園から消失していたのである。部室はただの殺風景な文芸部室に、長門有紀ははにかみ屋のただの文芸部員に、朝比奈さんはただの乳のでかい書道部員(キョンとは面識なし)に、小泉は一年九組ごと坂の下の光陽学園(女子校から共学に変化)に移動し、ハルヒも小泉と共に光陽学園で不如意な学園生活を送っていた。キョンの背後の席には消えたはずの朝倉が座っている。要するに、キョンの思い出と時間はそのままに世界がまるで違っていたのである。キョンは元の世界を取り戻すためにいろいろ考えるがどうにもならない。しかし長門有紀の遺した修正プログラムは、事故のようなハルヒの暴走によって起動する。
今日の話はこの修正プログラムが起動した後の話です。ちょっと長くなるけどなんとなく全体的に書いておこうかと思います。が、私が内容を整理するためなので十行くらいだらだらと意味不明な文章が並んでいるだけですから、もし「ハルヒ」が好きだから長文にも目を通しておこうかという方がここを見ていらっしゃるなら、とばしてくださいねー。
キョンは三年前の七夕の日(ハルヒがジョン・スミスの助力を得て東中の校庭に宇宙人宛てメッセージを書き、ジョン・スミス(実はキョン)がハルヒに「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく!」と言って去り、ちょうどその頃長門有紀宅では朝比奈さん(小)ともう一人のキョンが時間を凍結されて眠りについていた日。こう書くと何がなんだかよくわからない)に飛ばされ、そこにいた朝比奈さん(大)と共に長門有紀宅(キョンと朝比奈さん(小)が眠りについた直後)を訪れる。そしてそこにいた長門有紀から、世界を改変したのは誰かを明かされ、世界を元に戻すプログラム入りピストルを受け取り、三年後、世界が改変された直後に舞い戻る。
えー、ここが大事なところです。キョンは改変直後、長門有紀@はにかみ屋さんの騎士(ナイト)と化した朝倉に、刃物で脇腹を刺され、昏倒。気絶直前に何者か(っていうか、さらに未来から来たキョンと朝比奈さん(小))が刺されたキョンからピストルを奪い取り、刺されたキョンが目を覚ました時世界は元に戻っていた上に改変時から三日程進んでいた。目を覚ましたキョンは、世界改変前の予定通り部室で鍋を食べてから、時間を少しばかり遡り、世界再改変時に刺される自分を助けに行くことを心に新たにする。
話を続けるための便宜上、キョンの呼び名をちょっと変えてみます。改変された世界に取り残されて修正プログラムを発動させ、朝倉に刺されたキョン、つまり常に物語を前へ進める語り手(視点人物)の役を担っていたキョンを、便宜上キョン1と呼びましょう。キョン1が刺されて昏倒した後現れて世界を再改変するキョンを、便宜上キョン2と呼びます。ついでだからハルヒが東中の校庭にメッセージを書くのに助力した後長門有紀の部屋で三年間部屋ごと凍結されて寝ていたキョンキョン0です(3でもいいですけど、心情的に)。
キョン2は世界再改変後のそう遠くない未来から、世界再改変時に刺されるキョン1を助けに(というか代わりに世界を再改変しに)来ます。朝比奈さんを伴っているのは時間を移動しなければならないからです。それは朝比奈さんによれば「規定事項」だからです。本文ではわかりやすく、「キョン2がキョン1を助けに来なければキョン2が存在し得ないから」といった説明をされていたと思います。つまり、世界再改変時にキョン2がキョン1を助けに来なければキョン2がキョン1を助けに来る未来が存在し得ないから、ということです。
 
さてここで『ドラえもん のび太の大魔境』は、次のようなお話です。
ジャイアンの要請で「未開の地」を探すことになったのび太は、例によってドラえもんに泣きついて便利な道具を出してもらう。「自家用人工衛星」を使ってアフリカザイールの奥地上空「ヘビースモーカーズフォレスト」直下に謎の石像を確認したのび太は、ジャイアンたちと共にアフリカ奥地に冒険に出かける。様々な支障のために、「どこでもドア」「タケコプター」その他武器に類する道具は空き地に置いていくことになる。で、いろいろあって。いつものように。ヘビースモーカーズフォレストの奥にある、独自の進化を遂げた犬(によく似ている人型の生物)の王国「バウワンコ王国」の内乱に巻き込まれる。「クンタック王子(のび太に拾われ「ペコ」という名を付けられたただの犬だったが、旅の途中で正体を明かす。多分正当な王位継承者)」に与したのび太たちは、王を殺害して王位簒奪を企んだ「ダブランダー大臣(ブルドッグ風の悪役大臣。国政を壟断し、王子を殺し損ねた)」の軍事クーデターにより、今にも倒されんとする。そこへ! 
ここが大事なところです。
静香ちゃんが、物語中盤で登場した「先取り約束機(「明日必ず○○するから」と約束すると、今その○○が出来るという機械。のび太たちは「明日必ずご飯を食べるから」と約束してお腹一杯になった)」に向かって何事かをささやくと、絶体絶命だったのび太たちの前に援軍が駆け付ける。なんとそれは、空き地に置いてきた道具を手にしたのび太たちだった……! 静香ちゃんは「無事に帰れたら必ず自分たちを助けに行くから」と約束して、未来の自分たちを援軍に来させたのである。未来の自分たちの助けもあって無事に内乱を収めていつもの空き地へ帰り着いたのび太たちは、すぐさま武器を手に過去の自分たちを救出に出かける。
ちょっと楽しくなって筆が滑り気味です。
 
この二作品は、重要な共通点を持っています。ちょっと疲れてきたので簡単に言いますと、「規定事項」と「先取り約束機」は、機能が同じ、ということです。キョン2がキョン1を助けないとキョン2がキョン1を助けた事実が存在し得ない無事に帰ったのび太たちが絶体絶命ののび太たちを助けないと無事に帰ったのび太たちが絶体絶命ののび太たちを助けた事実が存在し得ない、同じでしょう。
谷川流ドラえもんを見てないはずはないと思うから、きっと参考にして換骨奪胎。パロるというかこういうのはいいですよね。まんま同じものを書くのはひねりも何もないし、むしろ「盗作」と呼ばれても仕方ないですが、これは違います。と、私は思いました。谷川流素敵。
 
 
こんだけ文字数費やしておいて、オチはこれかよ、私。しかもこれきっと誰か既に言ってるよね。