掛/け/算と割/り/算。

おおきく振りかぶって(Vol.1) (アフタヌーンKC) [ ひぐち アサ ] ひぐちアサおおきく振りかぶって』1巻。

三度(みたび)スラッシュ小説にはまりました、『おおきく振りかぶって』、やるな。なんかそうとしか思えなくなって、試みに「阿部×三橋」で検索かけたら出るわ出るわ、びっくりするほどヒットして、ああ、そうね、確かにその通りだわ、と思ったらもう、脳内設定超爆発。ちなみに一番のマイブームは「三橋→叶&榛名×阿部前提の阿部×三橋」です。みなさんの流儀で書くと「ミハ→カノ、ハル×アベ前提のアベ×ミハ」ということになりますかね。現代ものの二次創作にはまって何がヤバいって、その設定やエピソードが「原作」の設定やエピソードだったのかそれとも二次創作的な設定やエピソードだったのか、わかんなくなるところです。例えば「聖闘士星矢」の二次創作をすげー見てて、聖闘士が学校に行ったりバイトしたりしてるという錯覚に陥ることはまずないですが、「おおきく振りかぶって」の二次創作をすげー見てて、野球部員が学校で何か話しているのが「原作」内での出来事だったのか否か、忘れることはよくあります。
 
スラッシュ小説について。
やおい」とか「BL」とかの搭載されている、「原作」の存在する作品、つまり「BL」の棚に並んでる二次創作作品、蔑称だと「やおい同人誌」、って、日本オリジナルなのかどうなのか、あんまりよくわからないんですよね。イギリスとかにも存在していて、「スラッシュ作品」と呼ばれているそうです。日本と同じように若い娘さんとかが行なっている二次創作活動なんですが、私は詳しくないので、誰かまとめてくれませんかね。私がその存在を知ったのは、「ロードオブザリング」という映画が日本でヒットした時でした。日本語の二次創作をすげー見てたら、なんで紛れ込んだのか分かりませんが海外サイトにヒットして、簡単な英語で書いてある短編を頑張って読んだらどうやら78歳のヌメノール人×200歳のエルフみたいなそんな話で、これをさしてその書き手さんが「スラッシュ小説」と呼ばれていたように記憶しております。カテゴライズする時(つまり、「阿部×三橋」のように記述する時)には「アラゴルンレゴラス」のように記述します。
なんでここで「スラッシュ小説」の話かと申しますと、上の「おお振り」(『おおきく振りかぶって』を、みなさんこのように省略して呼ばれるようです)のくだりで、「阿部×三橋」と記述したから思い出した、というそれだけのことなのです。「阿部×三橋」のように、作品内ではおそらく想定外の特殊な関係を想像、妄想、類推(?)して楽しむ際、この関係性みたいなのをはっきりきっぱり述べると「カップリング」、包み隠して述べると「掛/け/算」と呼ぶ暗黙のしきたりみたいなのが、当該の世界には存在します。どういう変遷を辿ってこういう呼ばれ方をするようになったのかは想像はできても詳しくは調べるしかないでしょう。で、日本式だと「掛/け/算」、イギリス付近だと「スラッシュ小説」つまり「割/り/算」、掛けると割るで真逆なんですよね。これがなんだか楽しくて。しかも、日本式「掛/け/算」の場合、「×」の前に名前が来るのと後ろに名前が来るのでは当該人物に割り当てられた役割が大きく異なるため、「掛/け/算」的二次創作作品では名前の前後が非常に大事です。間違えて記述するとカテゴリ違いになってしまうし、カテゴリが違うと受け入れ難いとする読み手も多いので、大変な問題に発展することもあります。そうでもない時もあります。そしてイギリス付近式「スラッシュ小説」では、「/」の前後どちらに名前が来ても、それによって当該人物の役割が限定されることはありません。なんとなくどっちに書くとか、そういうのはあるのかなーと思うのは、前述「アラ/レゴ」を、どっちが上とか下とか人によって大きく見方が違うとかそういう事態は起こりにくそうだからどっちでもいいんだろうけど、これがどちらも女子だと(例えば「聖/蓉子」@「マリみて」とか)見る人によって役割分担が違ってきたりするからなーとか(要するに入れるものがないし、原作内でも対等な関係みたいな感じだしさ)、暗号みたいだしまとまってないからこの辺にします。
でもね。本来の、算/数で習う、四/則/計/算の約束事では「掛/け/る/数と掛/け/ら/れ/る/数を入れ替えても得られる答えは同じ」(a×b=b×a)のはずの掛/け/算が、「掛/け/算」というジャンル(?)になった途端「掛/け/る人物と掛/け/ら/れ/る人物を入れ替えたら全然違うカテゴリ」ということになって、「割/る/数と割/ら/れ/る/数を入れ替えたら筋の通らないことになる」(a/bとb/aは全く違う状況を表した式)はずの割/り/算が「割/り/算(スラッシュ)」になった途端「右の名前と左の名前を入れ替えても同じカテゴリ」になる、というのが楽しいです。よ。なんでこんなことになったのか、ちっともわかりません。やっぱりリアルなゲイの受容の違いとか、そういう大文字っぽい文化の違いが大きいのかなー。
  
次は『もやしもん』に萌えてみようと思います。
 
 
 
 
ここまで来てから数日が経過しました。
「○○前提の○○」という書き方は、ちょっと私の中のアベミハを表していないということがわかったので、書き直そうかなと思ったけど、面倒なので、また今度。