CMの話、2。

キシリッシュのCM

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笑ってないと笑われちゃうもん
人生なんてそんなもんだ(もん)

  
「♪笑ってないと笑われちゃうもん」
という歌詞は、私にとってとても恐ろしく感じられます。学校の中で行われる「いじめ」という暴力行為を思い起こさせるからです。もちろん、「いじめ」は殴る蹴る上履きに画鋲机の中に雑巾といった物理的な攻撃からキモイ臭い死ね不細工といった言葉による攻撃まで、他にも、さまざまですが、自分とそのお友だちとはちょっと違う者を嘲笑するといった攻撃も存在するのです。嘲笑する方はただ笑ってるだけなんですが、嘲笑される方は攻撃を加えられたと思いますよ。
「いじめ」というのは特に子どもが行っている場合、「この女の社会的地位を奪い、あるいは社会的生命を抹殺してやろう」などという類(たぐい)の明確な意思をもって計画実行されるものではない場合が多いようです。そういうのは最近の少女マンガとか二、三十年くらい昔の小説にはよくありますが、実際そう多くあるわけではないのではないでしょうか。ではどういう意図でもって行われるのかと言いますと、「○○は少しノリが悪い」ので「いじってやろう」とか「うっとうしい」から「からかってやろう」とか、軽い始まり方をするものでしょう。もっと深刻な場合は「○○はかなり汚い」ので「触らないようにしよう」とかそんな感じ。快活でなく、いい意味で目立っていない者を「いじ」り、「からか」って嘲笑するというのは上にあげた「笑ってないと笑われちゃう」の裏から見た図です。つまり、「笑ってない」から「笑」う、です。おお、怖い。へらへら歌っている場合じゃありません。「いじめ」の横行する場に身を置く者の歌う歌詞ですよ、あなた「いじめ」の被害者なんですよ。しかも「♪人生なんてそんなもんだ(もん)」て、もはや諦念です。諦めきってます。
でも、このCMは、深読み潜在「いじめ」CMとしてはそれほど強力ではありません。インパクトも薄いらしく、今まで問題にしている人を私は見たことがありません。CM後半の歌詞(「♪楽しんでると楽しいんだもん」)は楽しそうなので、あまり陰惨な想像をしなくて済んだからでしょう。
とか言ってる間に、このCM見なくなっちゃいました。