豊満なウエスト。

先日夜中に二時間ドラマの再放送がやってまして。いつ頃放送されたドラマなのか分かりませんがおそらくかなり古いと思われるドラマでした。日テレ系列だったので、火曜サスペンス劇場に違いないと思って調べてみたらやっぱり火曜サスペンス劇場。原作付きだろうな多分〈大人の本格推理〉だと思ってたらやっぱりそうで原作:和久峻三
内容は、以下の通り。独身の芸術家の女中を長年勤めた市原悦子が主人の弱みを握っているとおぼしき若い女に追い出されるように暇を出される。芸術家は市原悦子を遺産受取人とする遺言状を書き、まもなく新しい女を遺産の受取人とする遺言状に書き換え、突然死する〈もともと心臓が悪かったんだけどね〉。元主人の死に不自然を感じた市原悦子は女を疑い、遺言状の件を法廷に持ち込む。それは金銭を求めてのことではなく、女にだけは元主人の遺産を渡したくないというものであり、元主人が女に本心から遺産を相続させたいと思っていたわけではないに違いない、女が誰かと共謀して芸術家を殺したに違いないという、妄執とも見える思い込みによるほとんど言いがかりだった。
謎が解ければ言いがかりでも何でもなく女はほんとに悪人だったんですけどね。もう出てきた瞬間から分かります、〈悪女〉って化粧してるもの。
そんなこのドラマの眼目はなにかって、バーのホステスだった新しい女と芸術家の入浴シーンとかいろいろありますけど、一番はやっぱり市原悦子の濡れ場でしょう。思い詰めたような顔で女中部屋にやってきた主人に迫られ、困惑しながらも十年来密かに思い続けてきた主人に身を任せる市原悦子。ほとんど脱がなくて、ボタンを二つくらいはずして首と肩を出すだけ、派手なアクション(?)も一切なし、男からわずかに顔をそらして地味に吐息、カメラがよそを向く。こんなエロいベッドシーン初めて見ました。これはもう〈濡れ場〉と呼ぶにふさわしいでしょう。市原悦子、ほんとにもうおそろしい女優さんです。
これに匹敵するエロって、『仄暗い水の底から』で主演した黒木瞳くらいしか知りません(いや私が知らないだけですが)。黒木瞳の生活に疲れたうたた寝の肩口とかに漂うエロス。市原悦子の場合は黒木瞳と違って美形とかスタイルがいいとかそういうのは何もないんだけど、なんていうか、身体の線の崩れた女の持つエロスみたいな、そういうのを初めて実感しましたよ。
若干下品ですが、今日はこの辺で。