もの悲しいCM。

生命保険アフラックのCM、掃除洗濯編(?)というテレビCMをご存じでしょうか。柔らかい陽光の差す少し古びた日本家屋で、若い女性とアヒルが縁側を雑巾で拭き掃除して狭い庭で洗濯物を干している、穏やかでうららかな画面に、『アヒルのワルツ』という可愛らしい曲が流れている、というCMです。
このCMを見ると、涙が出そうになります。最初は私にはもう縁のない幸せを表した画像だからかしら、などと思っていたのですが、いや、よく見ると違います。このCM、「束の間の幸せ」とか「諦めたがゆえの清々しさ」とか「すべて終わった後の晴々とした寂しさ」とか、そういった〈感じ〉がしませんか。しませんか。
まず、なんで若い女性とアヒルなのか。普通に見ればペットですが、それにしては仲睦まじすぎませんか。同じ家に他に人は住んでいないのか。ぱっとみ、いません、他に人は登場しないしくだんの女性とアヒルは二名で完結しているような〈印象〉を受けます。洗濯物も少ないし、仲良し過ぎるし。というか、アヒル、何者? 掃除も洗濯も手伝ってるし。そしてBGM、歌詞の中に「ぼくたちは一生いっしょ」という箇所がありますが、家事を手伝えるアヒルが人格化されてアヒルの一人称なのか、若い女性の自己同一性とか自意識とか主体性とかに関わる問題で最近の歌曲の歌詞には女性の一人称「ぼく」が優勢だ(ZONEとか浜崎あゆみとかが引き合いに出されてますが)ということで女性の一人称なのか、どちらにしても若い女性とただのペットの間柄について歌われている歌詞ではないように見えます。
とかいう理由は後付けで、私にはほとんど第一印象から、このCMは、若い女性と何らかの理由で姿がアヒルの男性(?)という夫婦が世捨て人同然に暮らしている、というように見えていました。というか、アヒルがペットだなんて、当該のCMを三回くらい見るまで思いつきもしませんでした。

今日はこんなところで。