谷崎潤一郎『台所太平記』読了。

エマ (1) (Beam comix) 細雪 (中公文庫)
左から、『細雪谷崎潤一郎著、中公新書
『エマ(1)』森薫著、エンターブレイン


画像なかった。だから女中つながりってことで『エマ』と『細雪』貼ってみた。


「女中列伝」と、裏表紙に書いてある。「小説である」と、本文に書いてある。でもさ、どう贔屓目に見たって谷崎の家にいた女中の話でしょ。だって、谷崎んちの引越しと千倉家の引越し、タイミングおんなじだし。千倉磊吉の趣味が足の裏の綺麗な女とか襟元が清潔とか、ていうか懐古的で女中スキーとか、なんかまんま谷崎じゃん。とかって言っちゃいけないんだよねえ。小説なんだよね。同じなわけないしさ。違うって言ってるんだから違うんだよね。「新潟の海際で継母に育てられた人が描いたくっらい北の海がまったく新潟の海に他ならず、暗いのは作者の心象風景である」とか、そういう子どもっぽい言説(しかもプロによる)を忌み嫌うことから私の「文学を研究したい」という心は生まれたんだから。ていうかさ、表象作品は表象された時点で現実とは一線を画した存在なのだよ小林くん。

でも谷崎って絶対女中スキーでレズ嫌いだよね。そんな感想。


まじめに。第二次世界大戦前後の女中観とか、女中というものの実態とか、「制度」とか、有り様とか、例えば、雇い入れ方とか、年齢制限とか、不文律とか決まりとか、やめ方とか、生活とか、恋愛とか、結婚とか、社会通念とか、廃れていく様子とか、そういうものの非常にわかる一冊。第二次世界大戦前後といえば私の大好きな『細雪』が書かれた時代と非常に近くいやむしろ同じ頃で、私が『細雪』で興味深々に見ていた女中という職業とか人間関係とかがまさしく一冊でまとまってるのだ。だからこれから答え合わせの時間なのだ。