『エマ』六巻、ゲット!!

でもそれとは関係なく、『細雪』一二回目。
三人の姉妹は三様に違った美しさだが、三人で並ぶと調和するというような話。

細雪(上)』第七章(四三頁〜四七頁)
○使用テキスト:
谷崎潤一郎細雪(上)』新潮文庫版。
○梗概
幸子は井谷の電話を切りかね、雪子と妙子は車にも乗らずにそれを待つ。雪子は人事のように笑い、妙子は雪子にちょっと説教する。
普段は阪急蘆屋川の停留所までくらい歩くので、すると三人まとめて非常に美しく、人目を引く。雪子は和風、妙子は洋風、幸子は中間、とか背の高さが違うとか、それぞれに特徴的ながら、みんな派手で、この日も自動車から降りて阪急のホームに駆け上がるところを、周囲の人が振り返って見た。
電車は空いていたが、雪子の真向かいに座っている中学生が雪子を見て非常に赤面する。
○語
(四四頁)
・そう云う礼儀(七行目)
現代でも自動車に乗る順とか席順とか、出るところへ出れば非常にやかましいはず。友だちや兄弟姉妹などで乗る時くらいは適当だったりするだろうが、何かの席とか会合とか、そんな折なら友だちや兄弟姉妹でさえ席が決まっていたりするものだ。葬儀後の黒いハイヤーとか。ここでは時代もそれほど下っていないのに、乗る順や席順といった「そう云う礼儀」が崩れかかっている。妙子は合理的を旨とする進歩的婦人だからかな。
(四五頁)
・ハンカチ(六行目)
ハンカチは一九世紀に日本へ入ってきました。明治時代の初め頃。洋装とともにですね。便利でおしゃれなところから和装でも持つように。
・はみ出した長襦袢の袖をそろえながら(七行目)
女の人の着物は袖の胴体側が縫い合わせていないので、急いで歩くなどして袖が振り回されると長襦袢がはみ出してくるのです。ちょっとセクシー。いい着物を着るお金持ちだと、着物と襦袢はセットで仕立てるので、ちょうどいい長さになっていて、でも出るときは出る。この「ちょうどいい長さ」は、贅沢は敵で、中原淳一が怒ってました。素敵な女優さんなのに、進められるままに作って全然袖を通していない着物をいっぱい持ってて、それだけでも不経済なのに、襦袢と着物が完全にセットで長さが全部ちょっとずつ違う。その上着ないものだから自分で把握しかねていて、この着物とセットなのはどの襦袢かわからない。なんて馬鹿馬鹿しいことでしょうと。出展は平凡社『着物読本』。
○問題点とか
あー、この章の書きようだと、姉妹は三人しかいないか、鶴子が仲悪いみたいでいやな感じだと思うんだけど、どうか。雪子が和風、妙子が洋風、幸子が中間、幸子雪子妙子の順に背が高い、鶴子は? みたいな。