どうせなら百合度もつけることにしてみた。

エマ (5) (ビームコミックス)『エマ』森薫 2、8

これは五巻(最新刊)。百合度2、8くらいでひいてきたはいいけど、書くことがあまりなかったりした。いや、三巻だかにちょっとアレなのがあるから、書けるのか。ていうか紹介もしようよ自分。


一九世紀末イギリスロンドン。今は引退した元家庭教師ケリー先生宅のメイド、エマ。ケリー先生は貧乏ではないが庶民なので、大家とは違いエマは一人で家事の全てを執り行っている。そしてケリー先生の夫はもう随分昔に亡くなっている。ケリー先生が家庭教師をしていたのはジェントリ(貴族ではない)の階級に属するジョーンズ家(の長男ウィリアム氏)。ある日突然ケリー先生を訪ねてきたウィリアム氏とエマは恋に落ち、身分や生活の違いに悩んだり苦しんだりする二人。そしてジョーンズ氏(ウィリアム氏の父)が反対し、ケリー先生が亡くなり、エマはロンドンを離れ別のお家に仕え、そこんちの奥さまミセス・ドロテアに気に入られ、ウィリアム氏は結婚相手として選定されていたエレノア嬢にプロポーズし、エマはミセス・ドロテアの友達でありウィリアム氏の母であるミセス・トロロープに気に入られて息子の婚約パーティーに友人としてお供することになり、行った先でウィリアム氏と再会し、改めて愛を確認し、自由でない身をも確認し、ミセス・トロロープ(っていうかお母さん)にばれ、文通を始め、ロンドンからエマの主家にウィリアム氏が挨拶とかに訪れ、そんなところで五巻終了。


百合の話を。


結婚するなら誰にする、というようなお嬢さん方の世間話である。身の回りの未婚男性陣について○○さんは爵位がないし(あなたと結婚したら爵位を持った人になるわよ、それじゃお金のために結婚するみたいじゃない、それもそうね)、○○さんは年収が八万ポンドもないし、○○さんは何とか、それじゃ私たちが結婚する相手はいないわ、そうだグレイスさん(*お友達の一人、その時は別行動の最中だった)がいいわ、グレイスさんに男の方になって貰うのよ、それがいいわ、あなたって頭がいいのね。冷静になれお嬢さん方、グレイスさんは爵位を持っていないし年収も多分八万ポンドもないと思うよ、だってなにしろグレイスさんは女の方じゃないか、結局あなた方は周囲の紳士方なんてはなからお呼びじゃなくてグレイスさんが好きなだけでしょう、なんて。
一般にファンの皆さまによれば『エマ』の百合度は四巻において、エレノアさんがウィリアムさんにプロポーズされた時に登場してジェラシーのあまり大暴れしたエレノアさんのお姉様の方に依拠しているらしいが、リアル姉妹も百合の内に含めるのか、そうなのか、そうだよな。普段「『百合』とは大枠のジャンル名だ」とか言ってるのに、目から鱗の心持ちがしてしまったのでした。