もうなんか百合物件レビュー状態になろう、みたいな。

NANA―ナナ― 12 (りぼんマスコットコミックス) 『NANA』矢沢あい

この巻は十二巻だけど、一から十二巻とキャラクターガイドブック『7、8巻』(「ななてんはち」巻)、ほかトリビュートアルバムなど、出版社企画の商品も数多く、今秋主演宮崎あおい中島美嘉で実写映画化が決定しています。

小松奈々二十歳、男を探しに入学した地元の美術系専門学校で見つけた彼氏を追って上京し、移り気で異性を好きになりやすい体質と我が儘な性格と天真爛漫だったり思いやりの気持ちに欠けたりする子どもっぽさが幸いだか災いして、男を取っ替え引っ換えして生涯の伴侶となしたいかもしれない恋人(ミュージシャン;)を捉まえる。
大崎ナナ二十歳、「運命の恋人」(ミュージシャンとしてデビューするために上京)の後を追わずにミュージシャンを目指して上京、小さな成功を繰り返してデビューも決まり、再会した恋人(かなりの人気者)とのスキャンダルそして婚約会見と一連の騒動が話題と波紋を呼びさらにデビューシングルはダブルミリオンの勢い。
大雪でダイヤの乱れた冬のある日上京する新幹線の中で出会い、貧乏ほか種々の理由でマンションの一室をシェアリングすることになる。干渉し、すれ違い、友達が増え、奈々が問題を起こし、ナナが問題を起こし、奈々が男を取っ替え引っ換えし(その中にはナナの友人も混ざっている;)、ナナが恋人と再会し、奈々が妊娠し、ナナがデビューし、たりたり、六年後のものと思われる悲劇的モノローグに向かって物語は畳み掛ける勢いで進んでゆく。切れ目まるでなし。

要するに男女の恋愛を主眼としているところのこの物語、がなんで百合物件扱いなのか、というと。あらすじを紹介している時にはけして出てこない奈々とナナのロマンティックな友情が、私の目にはこの物語の主眼に思えるからなのですね。男の子なんてどうでもいいんですよ、このふたり。
本題の始まってからこっち十一冊分、綿々とナナへの熱い想いを語り続けるモノローグ(額縁の外)の奈々、奈々に捨てられた衝撃からノイローゼなど精神系の病に陥るナナ、好きな人との結婚が決まったにも拘らず(しかも憧れのシロガネーゼ)ナナとの別離に眉根に皺を寄せて泣き続ける奈々、奈々への想いの強さから過換気症候群過呼吸)に陥るナナ、テレビ画面を通じてナナから「好き」を伝えられ泣くほど喜ぶ奈々、自分の夢は奈々を自分の家で飼うことだと公言するナナ、


ここで時間が来て電源が落ちて、八行くらい消えちゃいました。電源切る時にはひとこと言ってから切ってくれ、時間に気づかないで打ってた私も悪いけどさ。


何が言いたかったかと言えば、つまり、男子との恋愛なんかよりよほど互いの方が大切に思える、そんな女の子二人の物語なのよ、ということです。たとえ出会って三日で始めたルームシェアリングの相手だろうと、運命の恋人とかそんな異性が自分にも相手にもいようと、離れて暮らし始めようと進む道が大きく違ってしまおうと、もしかしたら片方が死んでしまおうと。
全寮制女学校の時代からの伝統を守った寝る部屋だけ別のルームシェアリングだし。