鯖の映画。

多分わりと新しい映画で、鯖の映画見ました。ちょっとリアルなタッチのアニメ映画です。多分日本ではやってなくて、だから邦題もないけど、しいて訳すなら「ぴちぴち」とか「ばたばた」みたいな感じのタイトルです。港で水揚げされた鯖が飲食店の生け簀に入れられて、そこから逃げ出そうといろいろ試みるが……っていう映画です。生け簀の魚たちは客に指差されて店主に網で救われて、台所で無慈悲に生け造りにされて食べられる、っていうここらの食堂ではわりとよくある光景の運命を待つだけ、なんですが、鯖はあきらめずに海を目指します。飲食店の前が道路挟んで海なんですよ。結局鯖は筆舌に尽くしがたい戦いの末、あっさり刺身にされて死んでしまいますが、排水溝に潜んで半ば牢名主と化していた鮃が遺志を受け継ぎ、というのも変ですが鯖とはちょっと仲良くなったようで鯖の死後間もなく海をめざし、見事成功する、という映画です。
鯖が喋ってるというリアルでないにも程がある映画であるにも関わらず、びっくりするほどリアルな描写で、本気で鯖を応援しちゃいます。出てくる子どもが可愛くなくて憎たらしくてどうしようかと思います。あとお客さんが怖いです、無邪気にあれがいいわとか指すんですが、指されるとたいへん残酷な運命が魚を待ち受けてるわけで、ものすごいはらはらします。ほとんど全編はらはらしてるのですが、終盤あまりにもあっさりと鯖は刺身になってしまい、いや、逃げるとか?騒いで刺身になる直前まで抵抗するとか?なんかそういうのはないのかと思えば思うほどなんかリアルです。
そのうち日本で公開されることがあったらぜひご覧ください。ちょっとだけ陰惨な気持ちになって、そして刺身が食べにくくなると思います。