『細雪』一四回目。下巻第二十八章。

細雪 (下) (新潮文庫)  谷崎潤一郎細雪 下』。

☆第二十八章はこんな話。
姉妹が井谷の送別のためにバタバタする話。
☆使用テキスト。
今日も新潮文庫版『細雪 下』の平成七年第七十五冊版。
第二十八章は二五九頁から二六七頁まで。
☆梗概。
幸子、雪子、妙子の三姉妹は、着飾って、貞之助、悦子も共に、三宮駅まで井谷を見送りに出かける。妙子も珍しく和服である。井谷が発つと、幸子、雪子、妙子の三名は東京まで井谷の送別にというのは名目で、雪子の縁談の相手に会いに、準備を進める。
妙子は蒔岡家から勘当されている間も人が(妙子を、不良であるという)色眼鏡で見るようになってからも親切に接してくれた井谷に感激している。雪子は東京に行けば本家に連れ戻されるというような不安を抱いていて、東京には近づきたくないし、御牧が東京に在住しているので縁談にも気乗りしていない。
井谷への進物を選び、上京(旅行)の準備を進め、井谷の美容院がなくなったので髪を整えることができないまま、夜行列車の時間ギリギリになる。
☆語句など。
・日本服の盛装(二五九頁一四行目)
未婚の娘の盛装は振袖。結構色柄の派手な振袖。ここで妙子が着ているのもかなり派手で、時局柄駅でコートを脱げないような色柄。だいたい関西の御所風の着物は大柄で派手なものが多いけど、ここでは字面だけで目に染みるような派手さが伝わるほど目を引く派手ながらであるね。雪子も下巻初めの方(      )で娘風の拵えでちょっと気まずいとか書かれてたけど、これも三三歳にもなって未婚だから娘風にしないといけないから。
・お婆さん(二六〇頁一一行目)
一般には「年増」っていう。お婆さんとはあまり言わない。上の娘風の拵えとちょっと相反してて、分からない。